手のひらの終焉
ということは、集音機じゃなく、本物の研ぎ澄まされた能力を使っているってことだ。
 
そういえば、三階と一点違うことに、ドアの上には欄間のような飾りがあった。

そこからこちら側の微かな音を感知しているのかもしれない。
 
リャウカはすうっと空気を肺いっぱいに吸い込んだ。

そして力一杯

「ノインのハゲ!!」
 
叫んだ。

撃ってこない。
 
やはり聴覚が麻痺したのかも知れない。
 
リャウカはそおっとドアに近づいて、音もなくドアノブをひねると、

さっとドアを引き開けた。
 
身を壁の方へ避ける。
 
撃って来ない。
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