手のひらの終焉
リャウカは音を殺して、部屋の中に入った。
 
そこは目を奪われるような真っ赤の部屋だった。
 
壁紙もじゅうたんも、天井までも真っ赤だった。

中央に置かれたソファやテーブル、本棚さえも。

それも安物のペンキを塗りたくった訳ではないようだった。

この物資の乏しい世の中で、

よくこれだけ赤いものを集めたものだと呆れかえる。
 
おまけに部屋は半分から向こうがカーテンに覆われていて、

そのカーテンも赤かった。

「誰がハゲだって?」
 
何のダメージも受けた風でない、ノインの冷ややかな声が響いた。
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