手のひらの終焉
声は直接じゃなく、

部屋のこちら側のスピーカーから聞こえてくる。
 
お陰で、相手の位置が分からない。

「あれ、聞こえてた?」
 
聞こえないわけがないくらい大きな声で叫んでおいて、

それはないよな、とリャウカは我ながら思った。
 
冗談の通用する相手じゃないし、一体どういう反応をするんだろう。
 
何だかその反応に期待してしまう。
 
きっと面白いに違いない。
 
ところが、

「なあ、リャウカ、おまえ組織に戻ってくるつもりはないか?」
 
トーンを落とした落ち着いた声が返ってきた。
 
つまり、リャウカの暴言はきっちり置き去りにされたのだ。
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