手のひらの終焉
しかも、潔癖そうなノインが、リャウカを殴った後、

その手を、汚れたもののように、丹念に洗っているところまで想像できた。
 
つまり、ノインはリャウカのことを理解者だなんて、

死んでも思っていないということだ。
 
取ってつけたように口説いたって、

信じるとでも思っているのだろうか。
 
リャウカは黙って聞いていながら、あることに気が付いた。
 
部屋を区切ったカーテンの上部にも、欄間のような飾りがある。
 
どういうことなのだろう。
 
単なる趣味と言ってしまえばそれまでだが、何となく気にかかる。
 
ノインのいる周辺は、いつも気持ち悪いほど片付いていて、何にもなかったのだ。
 
ごちゃごちゃしているものは嫌いなのだ。
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