手のひらの終焉
でも、この赤といい、

今まで知らなかったノインの趣味があったのかもしれない。
 
リャウカは胸の前に来ていた束ねた髪を、無意識に払いのけた。
 
と、静かな発射音がしてカーテン越しに真っ直ぐ弾が飛んできた。

「言っておくが、下手に動かないほうがいいぞ」
 
大した理解者だ。
 
リャウカは凍りついた。
 
ノインが何らかの能力を使って、リャウカのいる正確な位置を

捉えているに違いなかった。
 
分厚いカーテンの向こうがしんと静まり返った。
 
音、ではなかった。
 
じゃあ、何?

欄間が目に入る。

もし、あの欄間が能力の助けになっているんだとしたら。
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