手のひらの終焉
そうか、もしかして、ノインは香り、匂いを敏感に嗅ぎ取る

ことが出来るんじゃないだろうか。

人の、微妙な動きさえ分かるほどに。

「理解者なくせに、やけに警戒するじゃない」

動かずに言った。

「お前が組織に戻ってくると言わない限りは敵だ」

「じゃあ、戻るって言ったらその分厚い悪趣味なカーテンから

出てきてくれるのか?」
 
ふっと軽く笑う声がした。

「お前の嘘は匂いで分かる」
 
口を滑らせたのか、ノインは自分の能力を自ら暴露した。
 
そうか、やっぱり、匂い、なんだな。
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