手のひらの終焉
リャウカは足音も気配も消して、ノインの出す、音の方へ近づいた。

何かにつまづく音がして、ノインが倒れた。

手探りで周りのものを避けながら、そっちへ行く。

嗅覚をやられて、ほかの事に気が回らなくなっている彼の、

傍に近寄るのはた易かった。

起き上がり、片手で鼻と口を覆ってフラフラと後ずさりするのが見えた。

そしてノインの背中は、壁ではなく、リャウカの体にぶつかった。

ノインの体がハッとして身構えようとする。

そのまえに、素早く、リャウカは左手をノインの体に回した。

ズキズキと肩が疼いている。

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