手のひらの終焉
マモウルの仕掛けてきたことは、リャウカにとって至難だった。

けれど、彼女は予定外にノインにさらわれたことによって

、充分に自分のしたことの制裁を受けたのだ。

リャウカには、もう彼女を怒る気すらなかった。

悪魔のような所業も、彼女がすれば天使の悪戯にすぎないのだ。

リャウカは手早くナイフで、マモウルを縛り付けているロープを切ると、

彼女の頭と体をそっと椅子の背もたれに、もたせかけた。

気を失っているとはいえ、天使の寝顔だ、と思った。

「マモウル、ずっとそのままでいてね。」

リャウカは語りかけると、彼女の額にキスした。

と、思いがけず、何かに捕まった。

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