手のひらの終焉
マモウルの細い両腕が、リャウカをそっと捉えていた。

驚いて見下ろすと、きらきらと輝くマモウルの瞳に、

自分の姿が写っているのが見えた。

その顔が、驚きに歪む。

いつの間にか手から抜き取られていたナイフが、

リャウカの背中に刺さっていた。

痛みに身を貫かれながら、まだ、訳が分からなくてマモウルを見た。

真っ直ぐにこちらを見ているマモウルの唇には、

優しく可憐な笑みが浮かんでいた。

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