手のひらの終焉
『あたしのことはいいから、リャウカを悪く言わないで』
 
リャウカのせいでさらわれたことになっているマモウルが、

必死の表情でそう言ったので、もう誰も、

リャウカのことを口にしなかった。 
 
ヤクラとマイナーは、仲間を失った哀しみを、

明るさで誤魔化しながら、二人して、麻袋の紐を解いた。
 
中から、燻製にされた肉の塊が出てきた。
 
一同から、オーッという低い感嘆の声が漏れる。

「どこで手に入れたんだ?」
 
不機嫌さを隠し切れないスクセが二人に聞いた。

「秘密。いいじゃん。食えれば」

「そうだそうだ」

肉はナイフで薄切りにしてみんなの皿に配られた。
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