手のひらの終焉
右手にナイフを持ち、頭の上の、

ブロックとブロックの隙間に突立てた。

それを支えに、左手と両足を使って壁をよじ登り、窓に腕を突っ込む。

腕の力で体を引き上げて、窓を抜ける。


鉄格子もないなんて、

閉じ込める人間をバカにした造りだ。


運良く、窓は砂漠の方に向いて空いていた。

砂漠の中にありながら緑の茂るこの、

不思議な街の裏口と言っていいかもしれない。

リャウカは足元の埃っぽい緑の地面めがけて飛び降りた。

たまっていた砂が舞い上がる。

それをしのぐと、

この街を乾燥から守っている木々の向こうに広がる、

暑い砂の光景へ歩き出した。

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