手のひらの終焉


リャウカは、ほこりっぽい、

崩れたアスファルトの道を見下ろしていたが、

長く保ち続けていた姿勢のまま、緊張感を全身にみなぎらせた。

リョウカのいるベランダを楕円形に覆った壁は、

一部が崩れていて、リャウカはその隙間にライフルの銃口を差し入れていた。

今、その射程内に、目的の人物が現われたのだ。
 
リャウカが、集中する。

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