手のひらの終焉
「イズミを一人、

あずけっぱなしって訳にもいかないでしょ。

組織で育った子供を、

普通の子供に戻すのは大変だと思うし、

何より」

彼女は、

怯えるような表情で、

目を上げて、

真っ直ぐにリャウカを見た。

まともに人と向き合うことの無かったリャウカに向かって、

心の中を探るような強い視線を向けてきたのだ。

リャウカは戸惑ってしまった。
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