手のひらの終焉
喋っていたことを、

一瞬忘れそうになりながら、

「何より、もう手を貸したくないんだよ、組織に」


放っておいても滅び行く世界なのに。

その残された時間を今以上に悪くさせたくない。

少なくとも、自分の手でその後押しをもう、したくない。


 
彼女の目が、

ホッとした。

それでもまだ、

始めの不安は纏わりついて見える。

出来れば他の誰も巻き込みたくは無いけれど、

自分独りでは、多分、生きていけないから。

そんな術は、組織は教えてくれなかった。

教えてくれるはずがない。

逃げられれば困るから。

だから、スクセ達に頼ったのだ。

それでも、

彼女やイズミは巻き込みたくないと思ってる。

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