手のひらの終焉
「どうやって、方向が分かるの?」

頭からすっぽりと布を身に纏ったリャウカが訊いた。
 
砂漠の民のように、リャウドが着せてくれたのだ。
 
リャウドはここで唯一の、

何代も続く、本物の砂漠の人間なのだ。
 
とはいえ、

父親までは砂漠に住んでいたのだが、

父親が若い頃に町に移り住んだので、

彼が実際に砂漠に住んだことはあまりないらしい。

「磁石がある。それに何より」
 
太い眉毛の下の目が、

面白そうにリャウカを見た。

「景色を覚えている。」
 
景色?
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