手のひらの終焉
「いいや。町に住んでいた母と結婚したために、

大決心をして町に住むことにしたそうだ。

母が亡くなった後、

父はすぐに砂漠へ戻ったよ。

町に押し込められているのは、

窒息しそうだったって言って」
 
そんなものなんだろうか。
 
確かに、

この無限に続きそうな三360°視界の限り、

砂と空だけの場所で生まれ育つと、

町の生活は牢獄の中にいるようなものなのかも知れない。

彼等には、この、灼熱の地が必要なのかも。
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