手のひらの終焉
スクセが立ち上がって呼びに行った。

「リャウカ、良かったね。

これで僕たち、本当に仲間だって」

イズミが跳ねるように飛び出してきた。

リャウカは黙って微笑んだ。

スクセがマモウルを連れて戻ってきた。

マモウルを大事そうに扱っているのが分かる。

ここの誰もがそうだった。

砂漠の過酷さは仕方がないが、

それ以外の全てのことから彼女を守ろうとしているように見える。

スクセの、

彼女に対するやさしい物腰を眺めていたら、

誰かの強い視線を感じた。

見ると、

この場でただ一人、

笑っていないマモウルが、

リャウカを見ていた。
< 93 / 262 >

この作品をシェア

pagetop