手のひらの終焉
「彼女の両親はどうなったんだ?兄弟はいたのか?」

「両親のことはわからない。でも、兄弟はいた。

でも、その消息は彼女を誘拐した組織だけが知っていることだろう」

二人とも少しの間黙った。
 
どうやら起きているのはその二人だけらしい。
 
他の声がしないうえ、

幾つもの寝息が合唱している。

「家族は人質に取られているのかな。

言うとおりに動かないと殺すとか脅されて。

だとしたら、今度のことで、リャウカの両親や兄弟は」

また、声が途切れた。
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