Honey Love
今日は、空ちゃんと瑠璃ちゃんで凜久争奪戦ね?
ふふっと、いたずらっぽく笑うおばさん。
実は今日は、私の両親が夜遅くまで出掛けることになっていて……
凜久のお家で夕ご飯をご馳走してもらうことになってたんだ。
今の今まで、空ちゃんに攻撃されっぱなしだった私はいつ反撃に出ようかと、タイミングを伺う。
「凜久お兄ちゃん、だっこ」
上を向いて、手を目一杯伸ばす空ちゃんは、まだ甘え足りないみたい。
「はいはい」
ひょいっと、空ちゃんを軽々持ち上げる凜久。
その瞬間、私の頭上にザアッと強い風が吹き抜けたんだ。
目の前の光景に白い霧がかかり、どことなく大人びた凜久。
でも、抱えている女の子は空ちゃんではなくて――。
その子を見ようと、よく目を凝らした時だった。
グラリと揺れる視界。
「さ、反撃開始よ」
おばさんが私の背中をポンと押した。