Honey Love
あ、れ――…?
今のは、……なに?
「瑠璃も来なって!」
空ちゃんを抱っこしたままの凜久が手を振る。
行かなくちゃ――!
タッと走り出すと、あっかんべーと赤い舌を伸ばす空ちゃん。
「……むっ、」
と、したい気持ちをグッと抑えて凜久に駆け寄った。
おばさんからの視線を感じているせいか、空ちゃんは可愛い声で続ける。
「凜久お兄ちゃんはどの色がいい?」
「ん~、ピンクかな。女の子っぽいし」
その凜久の言葉で決まると思いきや……
「瑠璃お姉ちゃんは?」
「え?え~っと……、私は水色が可愛いと思うな」
高校までの通学途中、小さい背中に大きなランドセルを背負って走っていく小学生。
凜久とこんな話をしたのを、覚えてる。