Honey Love
「あのお空のように、どんな事があっても、それを受け止めて乗り越えていけるように」
――最後は、笑えるように。
「そんな意味が込められているんじゃないかな」
「……」
空を見つめたまま、黙ったままの空ちゃん。
何かを言われる覚悟でいたけど、空ちゃんは目を細めて窓の外の景色から視線を外さなかった。
「驚いたよ」
「え……?」
凜久と一緒に選びたいだろうと感じた私は、邪魔だと思ってすぐそのフロアを離れた。
ううん……“逃げた”って言った方が正しい。
雑貨のお店を見つけて、ぼーっと見ていると背中に凜久の声。
「お母さん買い物終わったみたいで帰って来たから。今頃買ってると思う、ランドセル」
「そ、そっかぁ……」
自分なりに考えたとは言え、やっぱり失礼だったよね。
両親が付けてくれた名前には、きっと特別な意味が隠されてる。
それを勝手に空ちゃんに押し付けちゃって……。