Honey Love
「おわ……っ」
あ、この光景……前とおんなじ。
「空ね、凜久お兄ちゃんに言わなきゃいけないことがあるの」
突然シュンとした空ちゃんはとんでもない事を言い出した。
「空……彼氏が出来たの。だから空のことは諦めて……?」
「……」
私の目の前、膝に乗っかったままの空ちゃんに突然フラれている凜久。
「……っ」
ダメ、笑いがこみ上げてきちゃって……。
「ランドセルの色はね、凜久お兄ちゃんが選んでくれたピンクにしたんだよ」
「そ、……そう」
「瑠璃……お姉ちゃんの言ったことは正しかったよ」
空の名前の意味。そうしれっと言ってみせる。
「でも空色にはしないもんね~」
本日1度目のあっかんべー。
「なんか俺のこと忘れてない?」
「大地っ!」
ドアの隙間から見える小さな影。
あ、れ――?
なんかすごく視線を感じるんだけど……。
もしかして空ちゃんの……彼氏?
空ちゃんより少し高めの身長に、幼いながら整った顔。
「……?」
大地と呼ばれた男の子は、チラリと空ちゃんに目配せをすると
なぜか私との距離を縮めてくる。