Honey Love
冷えて固まったチョコを、一口サイズに切り分けて
ココアパウダーをふるっていく。
待ちきれなくて、ひと粒味見。
「ん、なかなか」
舌の上でなめらかに溶けていくチョコはほんのり大人の香りを残して消えていく。
「……ん、完成」
最後に水色のリボンを結んで。
今年は、ホワイトデーも日曜日なんだよね。
明日は瑠璃が家に来るように約束はしてあるし、もう完璧。
が、甘いホワイトデーの後日にはほろ苦いイベントも近付いていることを――…
「――あら、空ちゃん?うん、うん……来週ね?」
そばで電話を取るお母さんの言葉なんて耳に入ることなくその日は過ぎていったんだ。