Honey Love


「もう春かぁ~」

窓の外の景色をベッドの上から見つめる。


窓から差し込むポカポカと温かい日差しに、澄み切った青い空。


その中にふと、ピンク色が混じっていることに気付く。



「わわ……っ!」

急いで窓を開けると、公園に植えてある桜の木。

その中の何本かの木が、桜の蕾を抱えていて。



「もうすぐ咲きそう……」

大きく膨らんだピンク色の蕾は、今にも花びらを開かせそうだ。



んんー…っと、伸びをした所に、テーブルに置いてあったケータイが震えた。





「お花見旅行?」

「うんっ!」

凜久の表情がパアッと明るくなって瞳がキラリと光る。


「さっきあおいから電話があってね、一緒に行こうって」

「行きたい」

即答した凜久に、あおいとヨウくん、私たちふたりの4人で春の温泉旅行が決定した。



「でもなんで急に?」

私のベッドの上、なぜかイチゴのタオルケットを抱えた凜久は不思議そうに顔を傾けた。



「あおいの親戚のおじさんが旅館を経営しててね、今年の春にリニューアルオープン……っ!?」


「いい匂い……」

タオルケットを掴むと、それを鼻に近付けた凜久に顔がカッと熱くなった。


「り、凜久ってばっ!」


恥ずかしいよ……!

って言いながら凜久に接近してタオルケットを取り上げようとすると――。


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