Honey Love
「やっぱりすごいね」
「う、うん……」
ヒソヒソ話をやめない私たち。
長い廊下は、木造りでピカピカだった。
それに、壁に掛けてあるどっしりとした絵。
ところどころに飾られている、日本の花。
百合に桜やももまで。
和風の佇まいを、この花たちが鮮やかに彩っていて。
「こっちがあおいちゃんちね」
「で、こっちが卯月様です」
「……っ!」
慣れない呼び方に、凜久がピシッと固まってる。
「早く桜見に行こ~っ」
「うんっ」
そういって、おじさんが“こっちがあおいちゃんち”と開けた部屋に入ろうとした時だった。
「ちょっと瑠璃っ?」
「へっ?」
「なんでこっち!?瑠璃はそっちでしょ?」
“卯月様の、部屋”
と、にんまりと微笑む。
……え、ええ……っ?
「ど、どうして……?私とあおいに凜久とヨウくんじゃな「何言ってんの~っ!」
こらえられんとばかりに、あおいが笑い出す。
なんでカップル同士で来てるのに女と男で分かれるのよっ。
「へ?」
「私はいいけどね?瑠璃と一緒でも」
そう言って、意地悪な瞳を凜久に向けた。
「――…~ッ!瑠璃はこっち!」
勢いよく腕を捕まれると、引きずられるようにして
向かいの部屋へと押し込まれた。