Honey Love
浴衣に着替えようと、
上下下着姿になった時だった。
――ガララッ
「……っ!」
急に脱衣所に入って来た無表情の凜久が私に迫ってきたんだ。
「ま、まっ、待って……!」
凜久に背中を向けて、あわあわしながら、急いで浴衣の袖に腕を通す。
や、やだ……っ!
こんな下着姿恥ずかしいよ……!
「――待たない」
やっと腕は通せたものの、これじゃあ前ががら空きだ。
急いで隠そうと手を前に持って行った時。
肩を強く掴まれて、くるっと凜久の方を向かされる。
「瑠璃は何で俺が怒ってるか分かってる?」
「や……っ、離して凜久……」
「――離さない」
手首を乱暴に掴まれ、壁に押し付けられた。
前が開いたまま固定されてしまった浴衣は、私の体を隠してくれるはずもなく。
下着姿同然の格好で、私は凜久の質問に答えるしかなかった。
「えっ……と、ふぇ……っ」
答えが分からなくて、それでも私を無表情のまま見下ろす凜久に、涙が溢れてしまった。
「泣いたって……許さないんだから」
無表情から、少し苦しそうな表情に変わった凜久は、手首にかかる力を少しだけ弱めた。
「俺だって……寂しかったっ!」
「……!」
手首から手を離し、今度は勢い良いギュウッと抱きしめられる。
「ずっと……瑠璃が…あおいといるから」
あ、あれ……?
いつもあおいのことは“さん”付けで呼ぶのに。
凜久の小さな抵抗なのかな……。