Honey Love
「失礼します。食事のご用意を…」
中居さんが、食事の用意をしてくれるようで部屋食のようだった。
「……」
「……」
並べられた名前の知らない料理に言葉を失う私たち。
お頭付きのお刺身から、豪華な料理の数々。
どれも少量ずつ、高そうなお皿に盛り付けられている。
「あっ、お品書きがあるよ!」
「難しい漢字ばっかり」
結局、名前もよく分からないまま食事を始めた。
これは、なんだろう……?
ジュースかな?
手前の方に置かれた透明の小さなグラス。
透明がかった淡いピンク色の液体が入っていて、桜の花びらがちょこんと添えられている。
「おいしい……」
僅かに甘みがあって、喉を気持ちよく滑っていくそれは
「ふふ」
なぜか私の気分をよくさせた。
「ふふふ」
探るように少しずつ料理を口に運んでいく凜久が、なんだかとても可愛く見えて。
私の視線に気付いた凜久が、空っぽの私のグラスを見て声を張り上げた。
「……あーっ!」
急に叫んだ凜久に、ビクッと肩を震わせる私。
「瑠璃、それ……っ」
お品書きを片手に、凜久の人差し指が私の空っぽになったグラスに向けられた。
「食前酒だよっ、桜の」
「お酒……?」