Honey Love
「凜久、いこっ!」
目の前ではしゃぐ瑠璃は、くるんと回ってみせた。
どしゃぶりの雨の中でも目立つ、赤い色。
こんな計画を立てたのは、先週だった。
「雨、止みそうにないね」
憂うつそうに頬杖を付きながら、図書室の曇った窓から空を見上げている。
「まぁ、梅雨だからね」
雨の日は、あまり好きじゃない。
だって瑠璃と出掛けられないし。
外に出れば、ジメジメした空気に灰色の雲。
水を含んだ重たそうな雲が、今にもズシ……ッなんて、落ちてきそうだもん。
カラーの景色が、モノクロみたいになるのも好きじゃない。
こうして見ると、太陽ってすごいな、なんて思った時だった。
「雨が降ってても、凜久とどっか遊びに行きたいな」
残念そうに眉を下げる瑠璃が、寂しそうに笑った。
「あぁ……っ!」
瞬間、瑠璃の表情がパァッと明るくなって。
放課後いつも行く雑貨屋さんに寄って行こうって言い出したんだ。