Honey Love
「あ、これもいいな……こっちも可愛い」
ふたりで来た雑貨屋のとあるコーナーまで足を運んだ瑠璃。
“雨の日も楽しく”なんてコンセプトの下、傘やレインコート、長靴がいっぱい並んでいた。
「こんなのもあるんだ」
水玉や花柄のカラフルな長靴。
じゃなく、今は“レインブーツ”なんてオシャレな名前になってるし。
「ふふっ、凜久知らなかったでしょ」
そう言って、赤いレインコートを手に取った。
「雨の日もこれで楽しくなるね」
ピンク色の花柄のレインブーツも抱えて楽しそうにしている瑠璃。
本当、年上とは思えない程のはしゃぎっぷり。
そんなとこが好きなんだけどね。
「俺も何か買おうかな」
そう言って、瑠璃に選んでもらいルンルン気分で家に帰った。
そして、待ちに待った週末。
「わーっ、雨だ雨だ……!」
こんなお天気でも、喜んでる瑠璃は本当に楽しそう。
傘にレインコート、レインブーツで雨に準備万端の格好で外に飛び出した。
せっかくだから、こんな日はもっと雨が降ってくれてもいい。
――ザァァ……ッ
小雨だったハズなのに、俺たちが外に出た瞬間どしゃぶりになった。
「すご……」
隣でポカンとする俺を瑠璃が引っ張った。
こうして、“雨の日の散歩”は始まったんだ。