Honey Love


幼稚園に着くと、ちょうど入り口のところに大きな笹が立てかけられていて。

赤や黄色に、緑にピンク。


たくさんの子供たちの願い事が吊る下げられていた。

でも、なんか不思議だ。


どうして風もないのに、神社の方まで飛んできたのか。



「ふふ」

たくさんの短冊に描かれた願い事を見てクスッと笑いをこぼす瑠璃。


ケーキやさんになりたい。

スーパーマンになりたい。

なんて、いっぱい描かれてる。



「あら?」

飛んできた短冊を付ける瑠璃に気が付いたのか、保母さんらしき女の人が顔を出した。


「それ、なくなって困っていたのよ。ありがとう」

その人に手を繋がれて泣いている女の子。


「もしかして、ゆりちゃん?」

瑠璃が聞くと、ゆりと呼ばれた女の子がコクリと頷いた。


「お願い、叶うといいね」

瑠璃につられて、その子も笑顔になる。



「良かったらお願いごと、短冊に書いていきます?」








凜久とずっと一緒にいられますように。
            瑠璃


瑠璃を幸せに出来ますように。

            凜久



赤い短冊と青い短冊。


ひらがなばかりの短冊の中、一際目立つ願い事。

ふたつの願いを、風が揺らした。


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