Honey Love
「ふぇ……」
やっぱり、無理――。
瞳から溢れてしまった涙が、ほっぺを伝ってしまった。
「――…瑠璃、」
「ぐすっ」
きっと凜久、心配してるんだろうな。
涙で歪んだ視界は、そんな凜久の表情を見るのさえ邪魔して。
「待ってて」
「ふぇ……っ?」
急に背中に腕が回ったと思ったら凜久にきつく抱きしめられて。
そして
いつの間にかヨウくんの姿さえ、見えなくなっていて。
「ん……っ」
細長い指が、優しく私の涙を拭ってくれた。
涙が拭き取られ、少しクリアーになった視界。
「来年まで……待ってて」
「…凜久?」
――『瑠璃は……目が離せないから。絶対僕、来年には瑠璃の隣にいるって約束する』
耳元で聞こえる声は、私の胸を加速させるには充分過ぎる程で。
――『ほん…と、に?』
――『うん、約束』
ピンク色の空の下、私たちは小指を結んで約束を交わした。
凜久の顔が赤いのは、桜のせいだと思ってた。