Honey Love
「どれにしよう?」
クローゼットの中に掛けられている服とにらめっこを始めて数分。
凜久の家に着ていく服を真剣に選ぶ。
っていうのも……
――『ホワイトデーにあげるプレゼントすっかり忘れてた!今から家に遊びに来てよ』
数十分前にかかってきた凜久からの電話。
私は凜久が手作りでチョコを作ってくれただけでも、嬉しいのに……。
プレゼントまで……
「ふふ」
鏡を見つめ、自然に頬が緩む。
この前買ったばかりのデニムワンピ。
春の新作は、欠かさずチェック。
凜久の前ではいつだって、可愛くいたいから。
裾を少し折り返すと、チェックの裏地が見えるんだ。
そこをしっかりボタンで止め、胸元にあしらわれたフリルを見つめる。
「いいかな?」