Honey Love


ベッドに座った凜久、その開いた足の間に腰を下ろして。


お腹の辺りに腕の感触を感じた瞬間、背中に凜久の温かい体温が広がって。


後ろからギュッと抱きしめられていることに初めて気が付いた。



「いつもは、あんな感じじゃないんだけどな」

空ちゃんのこと?

そうポツリと聞いてみると、


「きっと瑠璃に妬いてるんだよ。空、小さい頃から俺にベッタリだったから」


――将来の夢は?って聞いた時、なんの迷いもなく“凜久のお嫁さん”って答えたからね。


そ、そっかぁ――…。


空ちゃんの、凜久を想うキモチになぜか心がツキンと痛んだ。


私と空ちゃん。

ふたりのキモチを天秤にかけた時どちらの方がより重いのだろう?

メーターぎりぎりまで、針は回るのかな?

それとも、重すぎて振り切っちゃうのかな?


少なくとも空ちゃんは、私の知らない凜久を知ってる。


今まで恋のライバルなんて、いたことなかった。


……ううん、正面から向き合ったことがなかったんだ。


ライバルの存在にビクビクして。堂々と“戦う”という選択肢を避けて通って来たから。


< 95 / 208 >

この作品をシェア

pagetop