Honey Love
バックミラーにおばさんの視線を感じた空ちゃんは、顔いっぱいの笑顔を浮かべた。
「……っ」
凜久はと言うと、笑いをこらえて完全に面白がっている。
事の発端は、数分前のこと。
「瑠璃ちゃんもどうかしら?」
本当は今日、凜久とおばさんには出掛ける用事があったらしくて。
空ちゃんが遊びに来た理由は、まだ少し早いけど、入学のお祝いをしてもらうこと。
それと……
「空ちゃん、色は決めた?」
「ん~…、まだ!」
おばさんの質問に、少し考えて返事をする空ちゃん。
空ちゃんのお母さんとお父さんは共働きで忙しく
ランドセルを一緒に選んで買ってきて欲しいというモノだった。
空ちゃんの大好きな、凜久も一緒に。
そこにたまたま、私が居合わせてって訳で。
天気はあいにくの雨。
灰色の雲を抱えた空は透明な無数の糸を吊る下げている。
「はい、空ちゃん」
私が先に車から降りてかさを差して待っていると、ピョコンと飛び降りる。
「……あっ」