Honey Love
その拍子に、ワンピースの裾に泥が飛んだ。
少しショックだったけど、洗えばなんとか――
小さなシミを見つめていたら
「……」
「凜久お兄ちゃんっ」
私のかさを飛び出して、凜久の方へ走って行ってしまった。
元気だなぁ……、と小さい背中を見つめながら私もみんなにつられて歩いていった。
エスカレーターを上った先に広がるのは……
「わぁぁっ」
凜久としっかり手を繋いだ空ちゃんが高い声を上げた。
その視線の先にはカラフルな色が散らばっている。
赤、ピンク、黄色、オレンジ、緑に青、紫。
その中間色まで。
まるでグラデーションのように、棚に並ぶランドセル。
「空ちゃんが好きな色を選んでいいのよ?」
「うんっ!」
おばさんの言葉を聞いた空ちゃんは、凜久の手をグイグイと引っ張てランドセルめがけて走る。
私はその光景を、おばさんと眺めた。
「本当に空ちゃん、凜久のことが好きなんですね」
「――ふふ、昔からなのよ。まだ赤ちゃんの頃から可愛がっていたから」