夏と秋の間で・乙


「お前のそういう態度が・・・。」



「何かね?」



「いや・・・なんでもない。」



 それが、歩の愛情表現だと思っていた。


 こうして、歩の困った顔を見るのが私の何よりもの幸福な時間だった。



 だけど・・・・・・・ソレが壊れ始めたのは、中学校最後の冬だった・・・。



「あのさ・・・なのはと、斉藤くんって付き合ってるの?」



 友人の麻美にそんなことを聞かれたのは、とても寒くコートを着ていても身体が震えるぐらいの日だったことを覚えている。


 これで、雪が降らないのが不思議なぐらいだ。



「え?なんで?」



 そこで、もちろんと、答えられなかったのは、私の弱さか・・・それとも・・・・。



「いや、私さ今度斉藤くんに告白しようと思って・・・。」


 え?


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