夏と秋の間で・乙
「あのなぁ・・・。」
「まぁ、良い人が見つかればそのうち収まるよ。」
だけど、その良い人が目の前にいるのというのに・・・見つかるなんてコトが出来るのだろうか・・・。
「まったく・・・あ、そうだ。忘れる前に言っておくけど、お前、明日からこの部屋に来るなよ。」
溜息交じりの歩の声。
・・・・・・・・・・・・・え?
「なんで?」
それは、あまりに唐突な出来事。
そんなこと言われて素直に『はい、そうですか』なんて、言えるはずがない。
ここは、私の聖域。
ここだけは、唯一私があなたとつながっていられる場所なのに・・・。
「麻美が嫌がるんだよ。仕方ないだろう?」
「だって・・・友達だって・・・。」
なんて身勝手な発言だと思った。
なんて勝手なやつだと思った。
だけど、それでも一緒にいてくれるなら、それでも良いって・・・思っていたのに・・・。
「しかないだろう?お前は女で俺は男。そういうことだよ。」
・・・・・・・・・・・・・そんな・・・・・・・・・・・・・。
そんな言葉しか出てこなかった。
それから、歩とは自然と疎遠になっていき、それに伴うように、麻美との仲ともギクシャクしてきたのは言うまでもない。
最悪だった。
本当に最悪で、毎日がつまらなくて、死のうと思ったことも一度だけではなかった。