夏と秋の間で・乙


「なのは、今日は歩と会っていたでしょ?」



 初めて知ったことなのだが、麻美は非常に嫉妬深い女性だった。



 会ってないよ。



 会わせてくれないんじゃない・・・あなたが・・・。



「そう・・・なら、良いけど・・・最近、歩があなたのことを話していたから、気になったんだよ。」



 やめてよ・・・。



 私の前で歩の話とかしないでよ。



 最悪だった。



 本当に最悪だった。



 やがて、何もかもがイヤになり、私は学校に行かなくなっていく。



 そこに親の転勤が決まったのは本当に偶然でしかない。



 だけど、これほどの好機はなかった。



 一からやり直す。



 今度こそ本当に素敵な恋愛をする。



 こんなことで人生を棒に振ってたまるか・・・。



 それだけが、私の目標だった。


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