夏と秋の間で・乙
そして・・・・・・・・・私は出会ってしまう・・・・・・・。
彼の名前は斉藤望巳。
すぐに覚えたのは、言うまでもない。
・・・・・・奇しくも同じ苗字。
もっとも、『斉藤』なんて、日本で五番目に多い苗字なんだから、いても何の不思議はないのだけど・・・。
最初はただのお隣さんだった。
ぶっきらぼうで、だけど笑うと人懐っこい顔をしていて、タバコをふかしてバイクに乗ることで、ちょっと悪ぶって見せてる、どこにでもいる男子高校生。
それが、最初の彼の印象だった。
すぐに仲良くなれたのは天性の人懐っこさからだ。
別に、彼を意識していたわけではないし、彼も私を意識する様子はなかった。
印象が変わったのは、麻美からの久々の電話から。
突然、引っ越して何の挨拶もなしに転校してしまったコトに彼女も私も罪悪感持っていた。
だから、引っ越してきたこの街で遊ぶというのは自然の流れのような気がした。
万が一、歩が一緒に着たらイヤだから、私はお隣の彼を誘うコトにした。
ものすごく嫌そうな顔をしていたことを覚えている。
コレだけ正直に出てくれると、逆に気持ちが良い。
だけど、何だかんだで付き合ってくれる彼は優しいと思った。
今まで付き合った彼氏とは違う。
お互いに、興味がないから、意識をしてないからうまく行くと思った。
・・・・・・・・・・・・・そう・・・・・・
曲りなり気にも『うまく行く』と思ってしまったのだ・・・・・・。