夏と秋の間で・乙
もちろん望巳にそんな趣味はないので、一頁目の記事はさらりと流し、パラパラとページをめくり『Vガンダム特集』の欄で、本を止める。
亜紀が声を発したのは、そんなときだった。
「そういえば今日、望巳のクラスに転校生が来たんだって?」
さすが情報が早い・・・。
「あぁ、とっても可愛いよ。85点をくれてあげた。」
どうせ、質問されることなど分かっているから、先に答える。
「やけに高得点じゃない?・・・もしかして一目惚れですか?」
冗談。
「まさか・・・。って言うか、お前俺が好きな相手知っているだろうが?」
一度、アニメージュから眼を離して、亜紀の顔を覗き込む。
自分が地べたに座り、向こうが壁にもつれかかったまま立っているような体勢のため、下手をすると、スカートの中身が見えそうなものだが、これがうまい具合に隠れるから、女生徒の制服は不思議だ。