夏と秋の間で・乙
二学期


「あのさ・・・俺って意外にもてるのか?」



 夏休みの間、望巳は短期でバイトをしていたため、多少のお金がたまっていた。



 何に使おうかと考えたが、とりあえず『奢ってやる』という名目の元、速人を学校近くのお好み焼き屋帆『鳳仙』に呼び出す。



 こんなこと、相談できるのは速人意外に思いつかなかったのだ。



「・・・・・・・・・・自慢話するつもりで呼んだのなら、帰るぞ。」



 ぶっきらぼうにお好み焼きに青海苔をかける速人。



 その表情は本気で不機嫌そうだ。




 おそらく、夏休み中ずっと富所先輩と付きっ切りで練習に参加させられていたのだろう。



 ご苦労様というべきは、無理やり付き合わされた速人の方か、引退したというのに、部活に参加している先輩の方なのかは分からないが・・・。



「別に、そういうつもりじゃねぇよ。ただ、最近色々あったんだよ。」



「色々って?」



「サンマに告白に近いようなもの受けたり、早川さんにも似たようなこと言われたり・・・。」



 さすがに、自意識過剰かな・・・とも思う。



 これで、二人とも実は全然違う男性を好きでした・・・なんて、オチだったら、自分は飛んだ間抜け野郎だ。



 もっとも・・・その可能性は多いにあるのだが・・・。



< 110 / 147 >

この作品をシェア

pagetop