夏と秋の間で・乙


「そこまで俺だって馬鹿じゃないよ。」



 そんなことしたら、最低以外の何者でもない。



 自分が誰を選び誰と付き合うのか、もしくは誰も選ばず付き合わないのか。



 それを決めるのは自分自身でしかない。



「だったら、なんのようだよ?」



「相談しちゃいけないのかよ?」



 だけど、友人に相談するぐらいは許されることだと思うが・・・。



「相談されたところで、答えられるか?」



 まったくだ・・・。



「友達甲斐のないヤツめ・・・。」



「そんなことで、友達の価値をはかるな・・・大体、お前は『告白のようなもの』を受けただけで、別に告白されたわけじゃないんだろう?」



 確かに・・・・



 この違いは似ているようで、多いに違う。



 こいつ・・・こんな態度とっていながら、しっかりと人の話を聞いてやがる。



 まぁ、そんなコトは、だいぶ前から分かっていたことだが・・・。



「そうだけど・・・。」



「だったら、深く考えるな自信家め。」



 そんな言葉を言われたら、他に返しようがない。



「分かったよ・・・。相談した俺が悪かった。」



 なんだか、速人の言い草がムカついて、望巳はしばらく吸っていなかったタバコを取り出し、一息つく。



 上っていくのは、お好み焼きの煙か、はたまた自分の口から出る紫煙の方か・・・。



「だがな・・・俺は思うけど、告白されたから好きになるって言うのは、違うと思うぞ・・・。」



 それは、友人からのもっとも思い忠告。



「そんなこと・・・。」



 言われなくても分かってる・・・。


 だから・・・・



・・・・・・・・・・・・・俺は・・・・・・・・。




< 112 / 147 >

この作品をシェア

pagetop