夏と秋の間で・乙
「ごめん・・・今の私、最低だったよね?」
早川さんが見えなくなって、亜紀が小さく口を開いた。
自分のやってしまったコトに自己嫌悪を抱いていることは、何を聞かなくても分かった。
「まぁ・・・後で話しておくよ。」
「なんて?」
「なんてだろうな・・・。それは帰り道に考える。」
本音だった。
なんて返すべきが一番なのだろうか・・・。
つまるところ、俺とサンマが付き合ってないという事実が一番のネックなのだ。
だけど・・・・・・・・
・・・・それは出来ない・・・・・・・・・・
・・・・『告白されたら好きになるって言うのは違うと思うぞ』・・・・。
分かってるよ速人。
だから、何も言えないのだろう?
いったい、どこに消えてしまったのだろうか・・・俺の気持ちは・・・。
「そっか・・・。ゴメンネ。」
亜紀は最後に大きくあやまると、ここまでで良いよ。と、走るように自分から去って行ってしまった。
それが、あからさまに自分からの逃げだと言うことは、いくら鈍感な自分でも分かった。
・・・別に、誰が悪いわけでもない。
たぶん・・・いや、どう考えても一番悪いのは自分なのだ。