夏と秋の間で・乙


「あのさ・・・早川さん、俺のこと、まだ好きだろう?」



 自然と言葉に出た。



 だけど、言った瞬間思った。


 何を言い出すのだ、俺は?



 どこまで自意識過剰になれば気が済む?



「・・・・・・そういうこと、普通聞くかな?」



 そりゃ、そうだ。



「いや、違ったらそれは、それで良いんだけどさ・・・。」



「・・・・・違わないよ。本心を言ってしまえば、この前の告白はウソじゃないし、もちろん、忘れてなんて欲しくないよ・・・だけど、私は、望巳くんが好きでいる私が許せないんだよ・・・。」



 それだけを一気にまくし立てると、早川さんは小さく、そんなこと女の子に話させないでよ。と文句を言った。



「ごめん。」



 それに対してあやまることしか出来ない自分が情けない。



 だけど、彼女が話したのなら、結論を出さなくちゃいけないのかもしれない。



 こんな状況をいつまでも続けていたらダメだ。



 だから・・・・・・俺は・・・・・・・。



「・・・・・・・・・・学園祭まで待ってくれないかな?」



「え?」



「学園祭までに結論を出すよ。」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・期限をつけた。



 今すぐに出すコトは出来ない。



 自分の頭にはもう一人の女性が脳裏をよぎって離れない。



 彼女を無視するわけにはいかない。



 だから、待って欲しい。



 学園祭が終わるまで・・・。



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