夏と秋の間で・乙

大場奈津

 その日の放課後。



 望巳は土曜の放課後は毎週そうしているように、今日も速人と一緒に駅前のゲームセンターに来ていた。



 結局、早月さんと一緒にいるところを目撃されたのは、大場さんだけだった。



 いや、本当はもっとたくさん居たのだろうが、「一緒に歩いていた=怪しい関係」と考えて、声をかけてくるのは、中学生ぐらいまでなのだろう。



 それぐらいで勘違いされては、こちらもたまったものではない・・・。



「あ~あ・・・」



 今、一番人気の格闘ゲームをやっている最中。不意に望巳は口を開いた。




「どうした?」



 それに対して、速人は不思議そうな声を上げる。



「いや、この一ヶ月、俺は何をしていたのかなぁ~と、思ってな・・・。」


 弱弱強パンチ。



 いったん引いて、必殺技。



 あ、こいつ、スライディングなんて卑怯な技を使いやがって・・・。



「あぁ、大場さんのことか・・・。」



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