夏と秋の間で・乙
「あれ?斉藤君じゃない?」
そんなことを考えながら、本屋によると意外な人物と出くわした。
「あれ、大場さん。どうしたのこんなところで?」
偶然を期待してなかったわけではないが、大場さんから声をかけてくることがあるなんて、考えもしなかった。
「私は、ちょっと欲しい本があったから・・・斉藤君こそ、どうしたの?こんなところで?」
愛らしい笑みを浮かべながら近づいてくる大場さん。
やっぱり綺麗な人だと思う。
「あ、いや、俺のほうはすることないし、金もないから雑誌の立ち読みにね・・・。今日、俺の誕生日だって言うのに、両親も仕事だし、祝ってくれる人間もいないしさ。」
何いらないことまでしゃべっているんだろう・・・俺。
「へ~意外。斉藤君友達多いみたいだから、誕生日なんてもっと盛大に祝ってくれると思ってたのに・・・。」
そう見えるのだろうか?しかし、実際に一緒に遊ぶ連中は限られているし、その中にとても誕生日を祝ってくれる連中がいるとは思えない。
事実、自分自身男友達の誕生日を祝ってやってコトないし・・・・。