夏と秋の間で・乙
「そう?なら良かったんだけど・・・・」
そこまで言うと、早月さんはようやく、自分の姿に気がついたらしく「あ、望巳くん。おはよう。」
と、ついでのような挨拶をしてくれた。
「おはよう、早月さん。その方は早月さんの彼氏?」
一応、社交辞令的に聞いてみる。
「うん。・・・と、言ってもまだ付き合いだして日は浅いけどね。」
・・・・・あ・・・・・・・そう・・・・・・・・・・・・。
「なのは、いいのかよ。こんなことで時間とられて、また遅刻するぞ。」
窓から青年が声を荒立てる。
正直、スカイラインなら全然余裕の時間のような気がしたが、彼女が自分以外の男と話しているのが、気に食わなかったのだろう。
見た目どおり、器が小さい男だ。
・・・・・まぁ、いいけどね・・・・。
「あ、ホントだ。それじゃあ望巳くん。また学校でね。」
早月さんは、笑顔で手を振ると慌ててスカイラインの助手席に乗った。
そして、次の瞬間スカイラインのエンジン音が響いたかと思うと、あっという間にははるかかなたに消えていってしまった。
・・・・・・・・・・さすが、スカイライン。スタートが早い・・・・・・・・・。