夏と秋の間で・乙


「なに、早川さん。」



 目を合わせずに声をあげる。



「あのさ・・・ちょっと話したいことがあるんだけど、いいかな?」



 もしかして、そのためにこんな時間まで待っていたのだろうか。



「だったら、明日学校で話してよ。」


 良くありがちな、お隣さんの同級生というのは、実際にあると不便以外の何者でもない。



 ここは、近所のオバちゃんや親の目だってあるんだぞ・・・。



「学校で話にくいことってあるじゃない?斉藤くんの部屋貸してよ。」


 まったく・・・。




「何でだよ?早川さんから提案したなら、早川さんの部屋を貸すのが筋じゃないのか?」




「あら?出会って二ヶ月しかたってない女の子の部屋に行こうなんて、斉藤くんってば、大胆。」



 こいつが男だったら絶対殴っているぞ。



「分かったよ。言っておくけど部屋汚いからな。」



「さすが望巳くん。ありがとう。」



 こうして、早川なのはは、史上初めて望巳の部屋に侵入するコトに成功する。



 元々、自分以外にはあまり使うことのない部屋。




 ゴミは散らかっているし、読みかけの雑誌は枕元においてある。




 屋根や壁が黄ばんでいるのは、この部屋は自分の家で唯一の喫煙所だからだ。



 その証拠に、部屋の真ん中においてあるちゃぶ台の上にの灰皿は吸殻でイッパイだった。



 お世辞にも、女の子が入るような部屋ではない。


「あ。Hな本はっけ~ん。」


 お前・・・
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