夏と秋の間で・乙


「飯でも、食うか?」


 夕暮れ迫る帰り道。



 二人きりになって、特に会話もなくなったとたん、不意に口にした。


「どうしたの?突然、優しいじゃないですか?」


「まぁ、今日ぐらいはな・・・。」



 誰から見ても分かるぐらいに無理を通した早川さん。



 何があったのか、聞くつもりなんてサラサラないが、そこまで頑張った彼女に何のご褒美もないのは、あまりに不条理なような気がした。



 ご飯ぐらい、おごってやっても良いだろう。



「ありがとう・・・。」



 それは静かな返事。



 だけど、その言葉がようやく、全てから解放されたような安堵した声だった。



 それから、二人はどこに行くか散々揉めた挙句、結局一番近くにあったファミレスで落ち着く。



 お互いにハンバーグセットと、ポテトサラダを頼み、お互いのメニューが出揃ったところで、先に口を開いたのは、早川なのはの方だった。



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