夏と秋の間で・乙
「頼まれただけねぇ~・・・ふ~ん・・・。」
何かを吟味するような速人の瞳。
刹那。
教室の扉が開き、噂の女性早川なのはが教室に入ってくる。
ナイスタイミングだ。
「そろそろ席に着け。授業が始まるぞ。」
正直、時間はまだある。
が、これ以上この話を続けるのは、あまりにリスクがありすぎるだろう。
どこかに行け。
目だけで訴えて見た。
「まったく・・・運の良いヤツめ・・・。分かったよ。あとでサンマにあやまっておけよ。」
だから、何でサンマが出て来るんだよ?
望巳が速人を睨みながら、そんなことを考えていると・・・。
「おはよう、望巳くん。昨日はありがとね。」
早月さんが持ち前の笑顔で挨拶してきた。
「おはよう。別に、アレぐらいどうというコトはないよ。」
ソレに対して自分も比較的明るい声で挨拶を返す。
速人の目線が痛い・・・。
何が言いたいかなんて、ここからでも良く分かる。
友人というのはアイコンタクトが上手なのだ。